埼玉県草加市のごとう整骨院です。ケガはもちろん、交通事故・自律神経の治療・アスリート専門筋膜治療・ボディエステなどを専門にしています。日曜日も診療しています。

• 腱鞘炎とは？

腱鞘（けんしょう）とは腱を包んでいる鞘（さや）のことで、中に滑液（かつえき）という油のようなものがあり腱を滑りやすくしています。腱は要所要所のポイントでこの腱鞘を通り抜け、抵抗なく効率良く滑走し指の曲げ伸ばしが行われます。

腱鞘炎とは何らかの原因で腱鞘が炎症を起こし、腱が腱鞘内をスムーズに通過できなくなった状態をいいます。伸筋腱（しんきんけん）の代表的な狭窄性腱鞘炎（きょうさくせいけんしょうえん）には「ドケルバン腱鞘炎」があり、屈筋腱（くっきんけん）には「ばね指」があります。

• ばね指とは？

ばね指は指の屈筋部（くっきんぶ）に起こるもので、手のひら側の靭帯性腱鞘が屈筋腱を圧迫したために
生じます。

発生部位は親指が最も多く、中指・薬指の順とがなります。

中高年（40才～）に多く、慢性的な機械的刺激（使い過ぎ）が原因となり症状としてＭＰ関節部
（こぶしの関節）の痛みと運動障害があります。

「指の曲げ伸ばしが困難」「朝起きると指が曲がったまま伸びない」
「無理に指を伸ばそうとすると引っかかりを感じる」などと訴えます。

炎症により腱が膨隆（ぼうりゅう）する、あるいは腱鞘が肥厚（ひこう）して腱が通過するスペースが
狭くなると腱鞘の中の腱のすべりが障害されます。
靭帯性腱鞘のうち、「Ａｌ　Ｐｕｌｌｅｙ」と呼ばれる手掌部分で引っかかると、指の屈伸に際しばね現象が生じます。（指を曲げる際にポコポコ音がしたり痛みが伴ったりする）

「Ａｌ　Ｐｕｌｌｅｙ」はＭＰ関節レベルに存在し、腱鞘炎で肥厚している場合は膨隆を触知することが
できます。この部分での滑走障害によって実際にはばね現象が生じる関節はＰＩＰ関節
（指先から2つめの関節）であるが、わずかな手のむくみで滑走障害は増強します。

• ばね指の治療

誘因となった作業・運動を控えていただき、リハビリテーションとして電気療法を行います。
また、手技療法を行いハリのある筋を緩め、腱鞘にかかるストレスを取り除き炎症を除去していきます。

難治例ではステロイドを腱鞘内に注射したり、保存的治療で改善の得られない症状は腱鞘切開術を薦めます。

リハビリは基本的に手のむくみをとるマッサージとばね指になっている指の屈伸運動を行います。
とくに指を伸ばす方向を中心に行います。

• ドケルバン腱鞘炎

ドケルバン腱鞘炎とは、長拇指外転筋腱と短拇指伸筋腱が橈骨茎状突起部で狭窄（きょうさく）された
状態です。

指の使い過ぎが原因で指の酷使する職業、物を書く動作が多い人や最近ではパソコン使用者などに多く見られます。中には手首周辺の外傷の二次的なものや、妊娠・出産をきっかけに発生する症例もあります。

症状は手首橈側部（手首の親指側の部分）の腫れと痛みで、痛みは物をつまんだり、
握ったりすると増強します。

• 腱鞘炎の診断

親指を屈曲掌側内転（親指を中に入れて握りこむ）し、そのまま手関節を尺屈（小指側に曲げる）することにより橈骨茎状突起部（手首の親指側の部分）に疼痛が誘発される「フィンケルシュタインテスト」の陽性と
同部の腫脹・圧痛があれば診断されます。

• 腱鞘炎の治療

痛みの誘因となった作業や運動（拇指内転、伸展、ＭＰ関節屈曲、手関節の尺屈）を控えさせる装具を装着。あるいはテーピング等を行う。リハビリとして温熱療法や手首のストレッチを指導する。

難治例ではステロイドを腱鞘内に注射します。これらの保存的療法が数カ月行っても改善されない場合は
腱鞘切開術を薦めます。

• 腱鞘炎とホルモンの関係

腱鞘炎が最も発症しやすいのは妊娠中・妊娠後の方です。

妊娠をすると急激にエストロゲンが減少します。エストロゲンは体内のコラーゲン線維を柔らかくする
効果があり、腱鞘はコラーゲン線維でできています。そのためにエストロゲンが減少すると腱鞘が硬くなっていきます。

腱鞘から柔らかさが失われ痛んでくるとサイトカインという体内物質が作られます。サイトカインは傷んでしまった腱鞘を修復するように命じますが、エストロゲンが充分出ないために質の悪い腱鞘ができてしまい、
摩擦が起きやすくなります。それにオーバーユース（使い過ぎ）が重なると腱鞘炎になりやすくなります。

＊現在では質の悪い腱鞘を作る原因であるサイトカインを抑える飲み薬や塗り薬の研究が進められています。